(c)shinichi kyousen suzuki2003 / 無断転載お断りします

松井如流  自詠自書の世界

はればれと文字は書くべししかれども 
いつしか夜のふけしにおどろく
遠山の碧玉の肌目にさえて 
雨しりぞけし今朝の空あり

殘年をただにすがしくあらむため あすへの道をわがもとめゆく

「雨」    夜ふけて寒山詩などよみをれば こころにしみて雨のふる音      昭和44年古稀記念松井如流書作展
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家こもりもてあそふこと筆もちて
ほごをつくるかうらやすけかり

ほのかなる冬のしめりあり 曲がり来て 檜葉垣みちのかげをゆくとき
めざむれば瀬鳴りの音す 戸を繰れば 朝焼けの山 畳なはりつつ
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山見えぬこの山國の朝曇り色赤らみてゆるる穂薄
あかかりし紅葉の一樹散りはてて この道平凡 冬に入りゆく

失ひかけしもののいくつか数へつつ 金木犀の黄花を愛す   昭和40

 

紅椿あまたの花びら散らしつつ おのづからなる廣さたもてり

「雨」    夜ふけて寒山詩などよみをれば こころにしみて雨のふる音